梅雨の季節に連想するお花といえば・・・アジサイですよね。
雨の中でも色鮮やかに咲いている姿は心を和ませてくれます。
アジサイは花の色が咲き始めから、だんだんと変化していくってご存知でしたか。
一つの枝から色の違う花をつけることもあったりと、子供に話したら不思議に思うかもしれませんね(^^)
花の色が変わるメカニズムは化学的要素が含まれていて、実験したくなる子がでるかもしれませんよ。
最近は品種も増えて、贈り物として喜ばれるようにもなりました。
そんなアジサイの花の色のメカニズムについてご紹介したいと思います。
紫陽花の原産国
最近はヨーロッパの品種改良されたものも人気ですが、原産国は日本なんです。
歴史の授業にも出てくる万葉集の中でも詠われており、奈良時代にはすでに栽培されていたのがうかがえます。
そんな昔から親しまれてきたお花なんですね。
その後、アジサイはヨーロッパに渡り、ヨーロッパの人々の間でも好まれ、品種改良されたものが日本に逆輸入されるようになりました。
日本固有のものは「アジサイ(ガクアジサイ)」、西洋アジサイは「ハイドランジア」と呼ばれています。
アジサイは花の形から2つに分けられる
アジサイはアジサイ科アジサイ属の落葉低木で、花の形から主に2つに分けられます。
アジサイの花は両性花と装飾花(中性花)を持っていて、その見え方によって花の形が異なります。
・両性花・・・一つの花に雄しべと雌しべの両方が存在する花
・装飾花・・・雄しべと雌しべが存在するが、退化して種子を作れない花
ガクアジサイ(ガク型)
ガクアジサイは一つの花に両性花と装飾花の両方がしっかりと見えるタイプです。
花の中心部分にあるたくさんの小さな花が両性花で、周りの大きな花が装飾花です。
ちなみに装飾花の花びらのようにみえるものはガク片で、花びらは中央にあり、とても小さく開花後にすぐに散ってしまいます。
ガク片が大きく目立つようになったのは、昆虫に花粉を運んでもらうために発達したとのこと。なるほどなと感心しちゃいますね。
手まり型と比べてゴージャス感はありませんが、2種類の花を楽しめるのがガクアジサイの魅力かなと思います♪
アジサイ(手まり型)
小さな花が集まってこんもりと丸い形。
アジサイと聞くと思い浮かべるのが、この手まり型かなと思います。
小さな花の集まりは装飾花で、本来の花である両性花は装飾花に隠れて見えません。
両性花は装飾花をかき分けると確認できます。両性花はさらに小さくて可愛らしいですよ。
こんもりと丸い形はゴージャスで華やかな印象を与え、ドライフラワーにして楽しまれる方も増えていますね♪
アジサイの花の色が変わるのはなぜ
アジサイの花の色は基本的には青・紫・赤・ピンク・白色ですが、実際はたくさんの色があります。
アジサイを育てている方はご存知の方も多いのですが、アジサイは育てているうちに買った時の花の色と変わることがあります。
また年毎で異なったり、咲き始めてから終わるまで変化したりと、花の色が一様ではないことが多いんです。
アジサイの花言葉は「移り気」で、このように花の色がころころ変わる事から付けられたようです。別名「七変化」とも言われているんですよ。
なぜ花の色がころころ変わるのでしょう。
花の色味を左右する要因1
花の色が変化するのには、アジサイのアントシアニン系色素と土壌のpHが関係しています。
「アントシアニン」って聞いたことあるわ、という方も多いですよね。
そう、目に良いとされるあのアントシアニンです。ブルーベリーやぶどう、カシスなども多くのアントシアニンを含んでいます。
pHとは酸性かアルカリ性かを示す指標のことで、植物は土壌のpHの値で生育が大きく左右されます。
アジサイの場合、土壌のpHが酸性だと、土の中のアルミニウムが水分に溶けやすく、アルミニウムイオンとなりアジサイの根から吸収され、細胞内のアントシアニン系色素と結合して花の色が青色になります。
また土壌のpHがアルカリ性の場合は、土の中のアルミニウムが溶けないため、アルミニウムイオンがアジサイの根から吸収されず、花の色がアントシアニン系色素本来の色味である赤色になります。
土壌のpHによる花の色 土壌が酸性・・・花は青色になる |
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花の色が変化する基本的なメカニズムは上記の通りですが、花の色が変化するメカニズムは複雑で、同じ場所でも花の色が年ごとで異なったり、一つの枝でも花の色が青色と赤色のものがあったりします。
それは花の色味を変える要因が他にもあるからなんです。
花の色味を左右する要因2
品種の特性によっては土壌のphに左右されないものもあります。
白いアジサイは土壌のpHに関係なく白色のままです。
それは白いアジサイにはアントシアニン系の色素を持っていないので、土壌のpHの影響を受けず白い花を付けます。
花の色味を左右する要因3
土壌が酸性であっても肥料などにより、赤色の花を咲かせることもあります。
肥料の中にはリン酸成分を含んでいるものがあり、リン酸が土壌のアルミニウムイオンと結合するとリン酸アルミニウムという物質ができます。
この物質は水に溶けない為、アジサイが根からアルミニウムイオンを吸収できず花の色は赤色になります。
また、石灰をまぜると土壌がアルカリ性に傾くので花の色は赤色になります。
リン酸含有量の多い肥料だと、青色の花が咲かせにくいので要注意です。
花の色味を左右する要因4
土壌が乾燥していると、土壌のアルミニウムが溶けにくいので、アルミニウムイオンが根から吸収されにくくなります。
濃い青色を出すには十分に水分を与えましょう。
また、根が吸い上げる水分の量は均一ではありません。
一本のアジサイでも枝によって微妙に花の色に違いがでることもあります。
日本に青系のアジサイが多いのは、雨が多い日本の土壌が酸性に傾きやすいからのようです。
赤色・青色の花の色をコントロールするには
アジサイの花は色々な要因によって左右されるわけですが、その要因を上手く使えば青色や赤色の花を咲かせることができます。
〇青色の花を咲かせるには
青色の花を咲かせるには土壌を酸性に傾ける必要があります。
基本の土の1つである鹿沼土(かぬまつち)やピートモスを使うと土壌が酸性に傾きやすくなります。
鹿沼土は水はけがよく、ピートモスは水持ちが良いのですが、どちらも過度に加えすぎると綺麗な青色が出せませんので、適量を加えるようにしましょう。
また肥料の中には青いアジサイ用の肥料も売られています。これが一番楽そうですね(^^)
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〇赤色の花を咲かせるには
赤色の花を咲かせるには土壌をアルカリ性に傾ける必要があります。
鹿沼土やピートモスのような酸性の土を使わないようにしましょう。
赤玉土や腐葉土を混ぜて土を作り、そこに石灰を加えることでアルカリ性に傾けるようにします。
またリン酸成分が入った肥料を使うようにします。
赤いアジサイ用の肥料も売られています(^^)
まとめ
アジサイの花の色の変化はとても科学的な要素たっぷりのメカニズムより引き起こされていたんですね。
アジサイ寺などに行かれたら、子供たちは紫陽花を見つけてはここはアルカリ性、あそこは酸性など楽しく散策できそうですね。ちっとした化学のお勉強になるかも♪
自由研究のネタというのもアリかなと思います(^^)
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